2013年
監督:黒沢清
原作:乾禄郎「完全なる首長竜の日」
脚本:黒沢清/田中幸子
出演:佐藤健/綾瀬はるか/中谷美紀/オダギリジョー/小泉今日子/
「センシング」という他人の意識に介入できるシステムを使って、昏睡状態の恋人を助けようとするという物語を見て、「現実」は個々の脳が作り出したフィクションでしかなく共同幻想から逸脱した少数者が病者として扱われるに過ぎない、のではないかと思った。
物語は映画の終わりで終わっているけれど、まだ何かが残っている感じが消せない。
わざわざタイトルに「リアル」を冠したのは、現実とは何かという志向を表しているのだと思う。この映画の中では、主人公の運転シーンや女医の髪が風に揺れるシーンなど、ところどころ引っかかるような絵の作りで現しているのだと感じたけれど、それが物語の中心ではない。
ハッピーエンドで映画は終わるけれど、語り尽くされていない何かがとても不穏だ。
この感じが興味深い映画だけれど、感じで終わっているのを残念に思う。