映画を見れば、なにかを想う

estis2017/11/24 (金) 02:24 に投稿

 コンピューターは、かつて人間だった。計算はすべて人間が手計算していた。賃金が安いからという理由で、多くの女性達が従事した。
 日本では2017年9月に公開された『ドリーム』(原題:Hidden Figures 監督:セオドア・メルフィ)は、1960年代初頭、ソ連との宇宙開発競争最中のNASAを舞台に、今まで語られる事の少なかった、計算手として活躍した黒人女性達を描いている2016年のアメリカ映画。
 まだ人種差別が色濃く残っている時代で、彼女達は様々な苦難に遭遇する。黒人用トイレが特定の場所にしかないので、その度そこまでダッシュしないといけなかったり、資格取得のための授業が白人専用の学校でしか行われていないとか。
 もちろん挫けず立ち向かっていくわけだが、誰かが都合良く解決してくれるわけではない。不満を唱えているだけではないのだ。例えば、IBM 7090がNASAに導入されたのを知ったドロシー・ヴォーンは、FORTRANを学び、仲間にも教えることで道を切り拓く。
 苦難を受ける側が働きかけることでしか変化は起こらないのであれば、「おかしい」という声に耳を傾ける努力を忘れないようにしよう。己が受けた苦難に沈黙するのは止めよう。願わくは、苦難と試練を違えず判別できる知恵を吾に。
 なお、映画は分かりやすくするために史実を脚色している。詳細は、株式会社ハーパーコリンズ・ジャパンから出ている『ドリーム NASAを支えた名もなき計算手たち』マーゴット・リー・シェタリー 著・山北めぐみ 訳 や、IBMの関連サイトを参照されたい。