2009/12/30 弁護士のくず(9)

estis2010/01/01 (金) 05:25 に投稿
井浦秀夫
監修・弁護士 小林茂和

case.71 Bの悲劇(1)
case.72 Bの悲劇(2)
case.73 Bの悲劇(3)
case.74 正義と偏見(1)
case.75 正義と偏見(2)
case.76 魔物、帰る
case.77 不幸の人(1)
case.78 不幸の人(2)
case.79 不幸の人(3)

「ビッグコミックオリジナル」2008年第20号~第22号、2009年第7号~第9号、第11号~第13号

『Bの悲劇』参考文献
血液型と性格の社会史』松田薫
不思議現象 なぜ信じるのか―こころの科学入門』菊池聡・谷口高士・宮元博章/編著
パラサイト式血液型診断』藤田紘一郎

連載担当/廣岡伸隆
単行本編集責任/飯田良弘
単行本編集/廣岡伸隆、内田弘毅(銀杏社)

ビッグ コミックス BC2760 p.220

2009年12月31日 初版第1刷発行

COVER DESIGN:セキネシンイチ制作室

株式会社 小学館


Bの悲劇
 {会社をクビになったのは血液型のせい?}
正義と偏見
 {いきなりイジメ被害の記者会見を市議会議員が開くが事実は?}
魔物、帰る
 {父親が亡くなり、15年間音信不通だった長男が帰ってくる。遺言で廃除したいと書かれた長男は、母親や娘が思うように魔物なのか?}
不幸の人
 {DV被害の疑いのある女性を助けようとした弁護士に痴漢疑惑が}


感想

Bの悲劇

 血液型を信奉している社長の悪口をトイレで言ったら、トイレの中で社長が聞いていた。そして、クビ。
 しかしクビになった社員を調べたら、朝礼は無断で出ないは、女子社員にストーカーはするわで、辞めさせられて当然な状態。
 ところが本当はもっと悪い奴がいた。ってお話。
 何かを拠り所として判断をされておられるのでしょうが、間違っている可能性に眼を瞑らないようにしてもらいたいものだ。間違ったらちゃんと自分の責任にしてくれ。そもそもこんな訴訟を起こされたのはどうしてかって大型社長は考えもしないんだろうな。株式会社オーガタも長くないか。
 「ハダカのオレのダメっぷりをとくと見ろ!」

正義と偏見

 自分の息子を殴られた市議会議員が、選挙も近いしこいつをネタに選挙活動。殴った子供には母親しかいなくて、その母親が元AV女優なんだから、この子供は陰湿ないじめっ子に違いないんだ、って事実を確かめもせず、自分の物語を作って行動に出てしまったわけですね。
 行動が早いのは素敵ですが、想像力がちと薄い。自分の息子が殴られているのに、殴られたという事実にしか興味がないのかね。

魔物、帰る

 母親と娘は、一方的に父親の言う事を信じていた。長男には長男の真実があったのに。父親が亡くなって、それがわかってよかったね。めでたし、めでたし。
 というお話。「代襲相続」は知りませんでした。
 父親は既に亡くなっているので、その思いはわかりません。でも父親は長男とも、娘ともきちんと話をしてないんでしょうね。会話ではなく、伝達でしかないのか。

不幸の人

 訪れた依頼者の様子に不審を持った加藤弁護士。どうやら依頼者はDVの被害者らしいが。DV加害者である夫は容疑を反らすために、加藤弁護士を罠にかけ痴漢の容疑者に仕立て上げた。
 一度誓ったから、永遠だっていうのが間違い。永遠の誓いっていうのは、誓いが永遠になるように努力し続けますってことだろう。そのうち誓いの内容自体忘れてしまうのかもしれないけれど。
 忘れても、まだ誓いたかったら、また誓えばいいのだ。誓いの中身が違ってもまずいかどうかは、当事者が決めればよいので。
 ここでは被害を受けていた妻は、夫が変わってくれる事を望んでいて離婚はしていません。夫の呪縛が断ち切れないという台詞が出てきます。断ち切れないのは、一度は自分が選んだってことなのではないでしょうか。以前は違ったのにとか、今見捨てるのはとか、私だけがわかってあげられるとか。
 さっさとギブアップすることが、双方にとって幸せな場合が多いように思います。