2010/12/04-3 王狩 (1)

estis2010/12/05 (日) 01:42 に投稿
青木幸子
棋譜指導:飯島英治(日本将棋連盟棋士)

第1話 夏休みの草原
第2話 奨励会
第3話 罠
第4話 ライバル
第5話 将棋ガールズ
第6話 杏vs.毬乃
第7話 覚醒
第8話 伝言
盤外戦術

「イブニング」'10年8号~10号、12号、14号、16号、18号、19号掲載

イブニングKC 331 p.191

2010年10月22日 第1刷発行

株式会社 講談社


久世杏は、6歳の時の出会いをきっかけに、将棋を始める。本気で遊ぶために、王を狩る旅へ。
『茶柱倶楽部』のコシマキで知った。同じく『ZOOKEEPER』の青木幸子ということで、作者買い。
『ZOOKEEPER』が印象深いのは、各話の動物エピソードももちろんだけれど、主人公の特性が万能として描かれていないこと。主人公自身も誇るべき能力だとは思っていない。
『王狩』の主人公久世杏も、第2話で「覚えていてあたり前」、「どうしたら知識を力に変えられるんだろう」と考える。
さらに第3話では、高辻図南が、「盤の前では誰もが自分の力で指す!!使う力が記憶力だか体力だかなんて知ったことか!!」と叫ぶ。
杏が持っているのは、祖父と同じ見えたものを全て記憶しているという能力(だと思われる。作中では何げなく見た事まですべて覚えている、とある。)だが、それが全てを解決するわけではなく、第6話ではそれゆえに追い詰められる。
『ZOOKEEPER』では、自分の特性は有用な能力であり適切に使っていいのだ、と語られていたけれど、『王狩』では、自分の能力を使って当たり前、プラス何かがなければ遊び続けられない、と語る。

同じような記憶力が出てくるものとしては、『テラバイト』がある。

主要登場人物は、
久世杏(12歳) 奨励会3級→2級
高辻図南(14歳) 奨励会1級
曰佐英司(14歳) 奨励会二段
園川圭一(15歳?) 奨励会三段
綿貫毬乃(12歳) 奨励会4級→3級
久世一馬 杏の祖父
清洲良家 久世一馬の幼なじみ 杏、高辻の師匠
稲森恒三 将棋連盟会長 曰佐、毬乃の師匠
白木一 
弓削光晴

稲森会長の思惑と、それに気付いている毬乃。『茶柱倶楽部』では姿を現したが、本編では9歳でのみ登場の園川はいつ姿を現すのか。
対局シーンの描かれ方は、棋譜がかっちり記載されているけれど、絵としてはどうか、と思うコマもある。今後対局が重要になってくるようだが、どう描かれるのか。『3月のライオン』でなら対局シーンなしとかありだけれど、ここではそれはありえない。『月下の棋士』に匹敵する対局シーンを望むのは、この巻のコマの描かれ方を見ていると難しいか。