2010/07/08 FLOWERS―フラワーズ―

estis2010/07/09 (金) 01:45 に投稿

2010年
日本
110分

企画・製作総指揮:大貫卓也
監督:小泉徳宏
脚本:藤本周/三浦有為子
音楽:朝川朋之
編集:張本征治
特別協賛:資生堂
製作:ADK/ROBOT/東宝/小学館/資生堂/日本テレビ/読売テレビ/読売新聞/KDDI
協賛:かんぽ生命
制作プロダクション:ROBOT
配給:東宝
出演:蒼井優/竹内結子/田中麗奈/仲間由紀恵/鈴木京香/広末涼子/真野響子/大沢たかお/平田満/塩見三省/長門裕之


或る一家三世代六人の女性の物語。
例えば四姉妹の物語なら、何度も映画化されている『細雪』がある。今は亡き市川崑の『細雪』は映像も美しく、とても良かった。
それと比べると、この映画の映像は美しくない。美しい場面が皆無というわけではないのだが、ひどいシーンが目に焼き付いて、些細な部分まで気になって仕方がない。決定的なのは、なぜ蒼井優のパートをモノクロにしたのかだろう。それも初めはカラーで見せておきながら、モノクロにしてしまう。しかもそのシーンが、モノクロとして美しくないのだ。初めからモノクロで見せておけば、それほどまでに気にならなかっただろうに。なぜモノクロにしたのかが、理解できなかった。
満月のシーンも、電球のアップなのかと思うほど、輝き過ぎだ。
平田満と鈴木京香が仏壇に手を合わせるシーンは、何故に一人ずつピン送りなのか。パンフォーカスで撮れよ。
背景も合成なのか、単一にボケて見えて、美しくない。
カットつなぎも、何だか不自然。どうしてそこで、フェードアウトなのか。
音楽もシーンに合っていないものが多い。合っていない音楽が、シーン変わりに不自然なタイミングに終わる。不安を煽りたいわけでもないのに。
そういったものが続くと、赤とんぼも飛ばしすぎに見えてくる。
神社で鈴緒をゆらす子供のシーンがコマ落としみたいに不自然に見えた。

六人の女優ありきの映画だからといって、その六人を中心にしているだけではだめでしょう。家族がテーマのように散々映画のなかで唱えておきながら、映画公式サイトのスタッフ紹介に、六人の女優しか書いてないとはどういうことかね。なんで真野響子が蒼井優の母親として関係図的なものに出てこないんだろう。そこに男優も載せればよいのに。
家族だと見せかけておいて、女優を見せてればいいやというのが本心なのか。
家族、命を繋ぐ、ということであるなら、どうして蒼井優演じる凜の葬式に、未だ存命中の竹内薫、田中麗奈の老いた姿が見えないのか。
この二人が実家に帰ってきている時に、その母親である蒼井優はどうして姿を現さないのか。
三人が揃うのは久しぶりと言わせておきながら、三人が揃うシーンはない。四人揃ったシーンを出すべきだと思う。
「美しい女性」というのは、ある程度の年齢までだと考えているからなんだろうか。年老いた女性がほとんど現れないのがとても不自然なのだ。
人は年齢を重ねていく者だが、『アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち』に出てきたように「老いていく者と若さを重ねる者」があり、老いていく者にもまた物語があるはず。そういう者も含めて、家族であり命を繋ぐのだ。

このような映画でOKとしたのであれば、製作・協賛各社は映画だけでなく本業のセンスも疑いたくなる。