太田忠司
解説 池上冬樹 1992 講談社ノベルス 創元推理文庫 M お 6 6 490 06 p.310 2011年4月22日 初版 Cover Direction & Design:岩郷重力+WONDER WORKZ。kk 株式会社東京創元社 警邏中に発見した死体の後頭部には大きな裂傷があった。 発見した警官・阿南は、見回り中に起きた新たな殺人をきっかけに、複数の事件のつながりに気付く。
全ての登場人物がきれいにまとまりすぎて、何だか気に入らない。
物語だからきれいにまとめないと、回収忘れだとか言われるのかも知れないが、現実はある物語が終わるところでちょうどうまく辻褄が合うようなもんじゃないだろう。 三年前の事件を回想する形式となっているが、そこで語られている私の思いは、三年経過後の今の思いなのかどうかがわからなかった。「僕」から「私」へ人称が変わっている理由も匂わない。何か語られていないものがあると感じるのも、三年前では仕方がない、という理解もあり得る。 亡くした人と似ているからという理由は、受け入れられやすいんだなぁ。現実は順番が逆なんじゃないかな。後で似ていることに気付くのであって、見た目の似ている人は避けてしまわないかい。 主人公である阿南が、自分の中の矛盾に気付くまでの物語。
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