谷川史子
他人暮らし 純花 (コーラス2010年5月号掲載) クインーズコミックス p.173 2011年3月20日 第1刷発行 カバーイラスト/谷川史子 株式会社集英社 他人暮らし 33歳の三人の女性、離婚してもうすぐ一年の純花、独身の頼子、結婚したサワ。 秋雨 亡くなった同僚の想いとその同僚への想いに気付く。
掲載誌が30歳前後の女性向けコミックス誌からだろうか、出てくる男は、離婚した元夫まで、性格のいい奴ばかり。
「他人暮らし」も「秋雨」も、ドラマの中心は主人公の心の内で、サワの物語でさえ、存在する誰かとの葛藤ではないのだからそれでもいいのだ。 「他人暮らし」の純花は、『私は他人を 受け入れられない 未熟で 利己的な 人間なんだから』と一人で気ままに生きていることに満足しようとしている。 頼子は、『結婚したい』と言いながら、『ちょっといやになると すぐ別れ話』だったのが、『その人がいないと もう生きてはゆけない そんなふうに思える誰かと うんと深く 向かいあいたい』と思うようになり、サワは、『できることも やりたいことも 別になくて ひとりで生きてく 自信もないなら 結婚するしか ないじゃない』『誰かの人生の たったひとりに 選ばれてみたかった』だけで、自分の条件に合えば誰でもよかったんだと思っていたけど、そう思いながらも、その人を選んでいたんだということに気付くわけだ。 誰もが自分のこととなると自信がない。 「秋雨」が人の死を描きながらも、ハッピーエンドの雰囲気を湛えているのは、亡くなった彼が『恋人でも なんでもなかった』からというのもあるのだろうけれど、亡くなるという決定的な事件があって、それで彼の想いが(今さらたしかめられないのだけれど)わかったから。 そんな自信でもいいんじゃないか。
|