2011/03/20-2 他人暮らし

estis2011/03/20 (日) 23:09 に投稿
谷川史子

他人暮らし 純花 (コーラス2010年5月号掲載)
他人暮らし 頼子 (コーラス2010年7月号掲載)
他人暮らし サワ (コーラス2010年9月号掲載)
秋雨       (コーラス2010年11月号掲載)
告白物語

クインーズコミックス p.173

2011年3月20日 第1刷発行

カバーイラスト/谷川史子
カバーデザイン/川谷康久

株式会社集英社


他人暮らし

 33歳の三人の女性、離婚してもうすぐ一年の純花、独身の頼子、結婚したサワ。
 あることから一緒に暮らすことになった三人の物語。

秋雨

 亡くなった同僚の想いとその同僚への想いに気付く。


掲載誌が30歳前後の女性向けコミックス誌からだろうか、出てくる男は、離婚した元夫まで、性格のいい奴ばかり。
「他人暮らし」も「秋雨」も、ドラマの中心は主人公の心の内で、サワの物語でさえ、存在する誰かとの葛藤ではないのだからそれでもいいのだ。

「他人暮らし」の純花は、『私は他人を 受け入れられない 未熟で 利己的な 人間なんだから』と一人で気ままに生きていることに満足しようとしている。
子供の頃の回想などを見ると、末っ子なんだろうか。
『ともだちだからしんどいのかな 特別だから』と『わがままに思えて のみこんでしまう』らしいけれど、特別な相手だから言わなくてもわかってくれて当たり前。黙っていてもわかってよ!って思っているんじゃないのかな。でも、テレパスってあんまりいないから、うまく伝える方法が必要なんだ。

頼子は、『結婚したい』と言いながら、『ちょっといやになると すぐ別れ話』だったのが、『その人がいないと もう生きてはゆけない そんなふうに思える誰かと うんと深く 向かいあいたい』と思うようになり、サワは、『できることも やりたいことも 別になくて ひとりで生きてく 自信もないなら 結婚するしか ないじゃない』『誰かの人生の たったひとりに 選ばれてみたかった』だけで、自分の条件に合えば誰でもよかったんだと思っていたけど、そう思いながらも、その人を選んでいたんだということに気付くわけだ。

誰もが自分のこととなると自信がない。

「秋雨」が人の死を描きながらも、ハッピーエンドの雰囲気を湛えているのは、亡くなった彼が『恋人でも なんでもなかった』からというのもあるのだろうけれど、亡くなるという決定的な事件があって、それで彼の想いが(今さらたしかめられないのだけれど)わかったから。

そんな自信でもいいんじゃないか。